日本三大渓谷
日本の秘境100選
ユネスコエコパーク認定地
上記は大台が原/大杉谷の持つ肩書きの一部です。
多くの肩書きを有し、近畿の秘境とも称される大杉谷。
このページではその歴史と自然について触れています。山行のお供にどうぞ。
大杉谷と伊勢神宮は、一級河川「宮川」で繋がれた位置関係にあります。 大杉谷は遷宮の際に御用材を切り出す「御杣山(みそまやま)」とされていた時期もありました。
現在の地形からも推測されるとおり木材を運び出すのは大変で、「遷宮物語」という資料にも「御杣山の中でも殊のほか険しく難事業であった」という記述があります。それでも当時より人々は木材を求め、この急峻な山奥に入っていたのです。
秘境であったこの山域に、探勝コースと山小屋が完成したのは昭和15年。
その年、桃の木山の家は収容人数50名・7月~10月の4ヶ月間の営業でスタートしました。 御料地であり、国立公園特別地域であるこの一帯の工事は幾重にも制限があり、困難を極めたようです。しかし関係各所の尽力の末、スポットを絶好の場所から見られる登山道と、強健な山小屋が完成しました。
吊橋の落橋、台風による甚大な被害など時には困難にさらされながら、桃の木山の家は80年強にわたり営業を続けています。現在は3、4代目のオーナーが小屋を引き継ぎ守っています。 「桃の木」の由来は諸説ありますが、創建当時ここに建っていた「トリモチ小屋」から来ているのだとか。トリモチの木(ヤマグルマ)は、「モモチの木」と呼ばれていたそうです。
トリモチの木→モモチの木→モモノ木→桃の木???
フォトギャラリーでは昭和36年(約50年前)の大杉谷の写真をご覧いただけます。
大台ケ原/大杉谷は雨が多い地域として有名です。大台ケ原は特に、年間降水量が4000mmを超えてきます。この一帯は屋久島と並ぶ日本一の豪雨地区なのです。
この多量な雨が温潤な気象条件をうみだし、モスフォレストと呼ばれるコケの多い森や、水量豊かな渓谷を作り上げました。
大杉谷を流れる清流・宮川は国土交通省の水質調査で、過去11回の日本一を取得しています。道中を歩きながら目を奪われる水の碧さ、豊かさ。それはこの多量の雨がもたらす恵みです。
弁当忘れても雨具忘れるな、という文言もあるほどの地域です。雨の覚悟と雨具の携帯はお忘れなく。また、集中豪雨による渓流の急な増水には十分注意してください。
大杉谷から大台ケ原にかけては、シダ植物と種子植物合わせて約943種ほどの植物が生育しています。これは日本の植物約4000種のうち1/4にあたる数。
標高差約1400m・8.4℃の温度差を生じるこの地域では、低山帯から亜高山帯までの植物相が分布しており、それが植生の豊かさに繋がっています。
大杉谷の春を彩る代表的な植物はシャクナゲです。「シャクナゲ坂」「シャクナゲ平」の地名もあるほど。標高500m付近の小屋周辺では5月中旬、日出ヶ岳・大台ケ原周辺では5月末頃が見ごろの目安です。 また、5月の日出ヶ岳に至る尾根筋では、シロヤシオ(ゴヨウツツジ)の可憐な花も出迎えてくれます。
この一帯では約30種の鳥類が観察されており、5~7月の朝は野鳥のコーラスが聞こえます。
その他、登山道でよく出会う動物にはニホンカモシカ、シカ、ニホンザルなどがいます。
以前は本流で川魚・アマゴの姿も見られましたが、平成16年の災害後は激減しているようです。川面でよく観察できる小魚はアブラハヤ。川近くでは夏、カジカガエルの美声も聞かれます。
また、三重県の天然記念物であるオオダイガハラサンショウウオもこの辺りを代表する生物のひとつです。
一方、あまり出会いたくないのがマムシ、スズメバチなどの有毒生物。肌の露出を避け、見かけた時はを刺激しないよう歩きましょう。
また、この山域はツキノワグマの生息地です。人が居るのがわかれば向こうから出てくる事はありません。パーティーの場合は良いのですが、単独行の場合はクマスズや携帯ラジオを用い、人が居ることを知らせながら歩くと安心です。
夏季の雨の後はヤマビルも出現します。忌避材や塩を持ち歩き、靴についたものをこまめに払うのが効果的。どうしてもヒルに出会いたくない場合は、春か秋の登山をお勧めいたします。
三重県・大台町と奈良県・大台ケ原を結ぶ大杉谷登山道。桃の木山の家はその中間に位置します。
雨が作る渓谷美は日本三大渓谷
のひとつと謳われています。
また道中の
「七ツ釜滝」は日本百名瀑
「日出ヶ岳」は日本百名山
に選ばれています。
桃の木山の家の
FBもご覧ください。